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【書評】嫌われる勇気|本書で得た2つの「学び」を紹介|No.1

2020年7月15日

【書評】嫌われる勇気~読めば「悩みがなくなる!」モンスター本~|No.1

こんな方におすすめ

  • 他人の目を気にする人
  • 人間関係に悩んでる人
  • 幸せの意味について知りたい人

本書の評価

理論度   【★★★★☆】(4.0)

実践度   【★☆☆☆☆】(1.0)

内容の濃さ 【★★★★★】(5.0)

悩みのない人間はいない。ですよね?

悩みをかかえてる人ならこの本を読むことで「心がスッと楽に」なること間違いなしです!

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

本書の思想のモデルになった心理学の巨匠「アルフレッド・アドラー」はこう明言しています。

これを聞いて「そんなことない!」と思われた方もいるかもしれないけど、これが読むと納得します。

確かに悩みの原因を探っていくと、誰か、人間にたどりつきます。

極端な話、地球上に自分1人なら悩みもなくなります。

 

そして、さらに本書では、その悩みの解決法も提示してくれています!

これがすごい。

つまり、この本を読めば、あなたが抱えている悩み事がすべて解決するということです。

これが本当ならすごいですよね?

 

実際読んでみた感想ですが、あながち言い過ぎでもないと思いましたし、自分の心も軽くなるのを感じました。

発行部数が国内合計221万部のモンスター本ですが、その理由も納得の1冊です。

さらに、サブタイトルが『自己啓発の源流「アドラー」の教え』となっています。

自己啓発の源流。。

世の中の自己啓発の全ての源流ってこと?

いや、あながちウソでもなさそうです。

実際、自己啓発本で有名で世界的ベストセラーのデール・カーネギーの『人を動かす』やスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』もアドラーの思想が反映されているとのことです。

つまりは、人生と人間の本質的な内容が書かれた本ということです。

アドラー心理学は、堅苦しい学問ではなく、人間理解の真理、また到達点として受け入れられている。

普段読書をしない人でも、これは人生の必読書です。

しかし、それだけに理解が難しいところもあります。

本自体は対話形式ですごく読みやすいのですが、「子供はほめて育てたらダメ」とか「他人を賞賛してはダメ」とか、一般的な価値観を真正面から否定にかかっているので、受け入れにくいのです。

私は、5回ほど読み返しました。

その結果、1回目読んだときは感動の方が大きかったのですが、やがて少し疑問が出てくると同時に、詰めが甘いところにも気づくようになりました。

「そんな考え方があったのか!」という気づきは大きいですが、それを実際の生活で実践するのはかなり難しい。

これについては、アドラー本人も実践で活用するのは難しい。と述べています。

それでは、悩みがなくなる理屈をざっと紹介し、疑問点や詰めが甘いところをご紹介していきます。

最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

 

【本データ】
ダイヤモンド社発行
2013年12月22日第1刷、2020年5月22日第55刷
ISBN:978-4-478-02581-9
定価:1500円+税

【著者】

岸見一郎氏:日本の哲学者。1956年生まれ。

古賀史健氏:株式会社バトンズ代表でライター。1973年生まれ。

 

アドラーとは何者か?

そもそも本書の思想の主、アルフレッド・アドラーとは何者でしょうか。

アルフレッド・アドラーは、フロイトやユングという心理学の巨匠と並び「心理学の三大巨頭」といわれる中の1人です。

日本ではあまり有名ではなかったけど、最近では本書の影響もあり、アドラー、アドラー心理学という言葉がすっかり定着しています。

面白いのが、同じ巨匠として並べられているフロイトの思想を否定しているのです。

「トラウマ」はフロイトが作った概念です。

人は過去の出来事があるから今の自分がなりたっていると感がるのが一般的だと思います。

だから、過去に傷をおったせいで、その対象のものが怖くなったり、性格が消極的になったりする。

そこでフロイトは過去のトラウマを克服するアプローチをとりました。

アドラーはこのトラウマを完全否定の立場です。

過去がどうであろうと関係ない。

今、これから、どうしていくか。それだけが重要なのだ。

と説いています。

フロイトと真っ向からバチバチの関係のようです。

ちなみに、フロイトとユングも最初は夫婦がらみで仲良しでしたが、考えの違いで決別しいます。

心理学の3大巨匠といわれているのに、3人ともバチバチの関係とは、どうなんですかね?

それはさておき本題に入っていきます。

 

【本書の概要】「悩みがなくなる」メカニズムを解説

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

なぜ「悩みの原因が全て人間関係なのか?」

それは、逆にいうと「幸福の源泉は人間関係にある」からだそうです。

人は誰しもが幸福になりたいと思っていて、幸福になるためには他人が必要。

だから、他人を求め、他人に自分を理解してほしいし、認めてほしい、そして、嫌われたくないと思う。

他人から「すごい!」「かっこいい!」「きれい!」とかほめられると気分がいいですよね。

反対に陰で悪口言われたり、無視されたり、嫌われると気分が悪い。

この気分、感情が幸せか幸せではないか、どちらに感じるか大きく関係しています。

幸せを研究した学問といえば、ポジティブ心理学ですが、その研究者の1人で特に感情について研究しているバーバラ・フレドリクソンによると

ポジティブ感情とネガティブ感情の比が3:1以上なら幸せに感じ人生うまくいくといいます。

だから、気分、感情が幸せに影響をあたえるということは科学的にも証明されていることです。

だから、気分、感情を生み出す他人との関係は非常に大事になってきます。

ではどのような人間関係をもてばいいのでしょうか?

アドラーは、この点について、自分の気分が他人にゆだねられていることに問題があると指摘しています。

他人に承認欲求をもとめ、嫌われるのを恐れていては、幸せになれないといっています。

 

なぜ嫌われるのが怖いのか?

「なぜ、人は嫌われたくない」と思うのか?

これについて、まず解説します。

人間は生まれたときから圧倒的に弱い存在から人生がスタートし、親や周りの助けなしには生きていけません。

心は大人と同じように働くのに、体が思う通り動かず、知能も未熟です。

そんな状態で親に嫌われたら人生の終わりです。

近代哲学の祖「カント」はこれを「傾向性」と呼び、人間の本能であるといいます。

つまり、「嫌われたくない」と思うのは人間の本能だったんです。

これに対して、アドラーは「本能のままの放置するのはよくない。その先に自由はない」といいます。

これはするどい指摘です。

人間は欲望のままに行動することは、一見「ストレスフリー」で「自由」なように見えるけど、アドラーは「それは自由ではない」というのです。

なぜなら、欲望にまみれた生活の先に幸せはないからです。

なるほど、確かに例えば、好き放題お酒を飲んだり、ギャンブルにあけくれるとする。

その先には不幸しかないのは、誰でもわかることですよね。

 

だから「人に嫌われたくない」という人間の本能もコントロールしないと、自由も幸せも訪れない。

というのがアドラーの主張です。

 

「嫌われてもいい」と思えば悩みは消える

では、どうやって「人に嫌われたくない」という人間の本能をコントロールすればいいのか?

そこで出てくるのが「課題の分離」という言葉です。

課題の分離とは

「これはだれの課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要がある」

誰の課題かを見分ける方法はシンプルです。

「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」

このように述べられています。

そして、「他者の課題は切り捨てよ」といっています。

自分と他人との課題を分離して、他人のものは切り捨てる。

なんか言葉だけではわかりにくいので、具体的な例をみてみましょう。

 

例えば、子どもが宿題をやらないこと。

これはだれの課題でしょうか?

親は子どもを教育する責任を感じて、宿題をやらない子供に「やりなさい!」、「あなたのためを思って言ってるのよ」といいますが、宿題をやらないことで最終的にその結末を引き受けるのは「子ども」です。

つまり、宿題をする、しないは子供の課題であって、親の課題ではない。

だから、親は、その課題を切り捨て、子どもが宿題やならくても気にしないのが正解。

そして、「あなたのためを思って」というのも、よくよく考えると宿題をやらくても親自身は困らないのになぜいうのか?

それは子どもが宿題をやらないことによる担任の先生の目、同級生の親の目を気にしてるから、あの子の親は子どもに宿題をさせることもできない、など思われるのが嫌だから、言ってる可能性もあります。

この場合は、周りの目を気にしている点については親自身の課題です。

本当に子どものためを思って勉強をさせるなら、「勉強は何のためにするのか?」を親自身が明確に理解しているのが前提だと思います。

30年くらい前であれば、大企業に入ると人生安泰だったので、そのための学校でいい成績をとるのは大事ですが、今の時代学校の成績がいいことの価値は下がってきています。

それよりも、どういう風に働くか?を追求することが大事です。

少し話がそれましたが、これが課題の分離です。

 

たしかに、課題を分離すると親は子どもが宿題をやらないことに対するストレスからは解放される。

けど、これでは子どもを見捨てるかわいそうではないか?とも考えられますよね。

そこでアドラーは、子どもが助けを求めたら「援助」すればいいといっています。

自分から「介入」はしないけど、「援助」はする。

その前提に、宿題は自分の課題ではないから気にしないが、子どもとの関係をよくするために「援助」は必要に応じてしていく。

なるほど。

いや、理屈はわかるけど、これを実生活で適応するのはかなりレベルの高いことをいってますよね。

どこまでが介入でどこまでが援助なのか。

これについては、ケースごとに考える訓練が必要になってきます。

 

子どもの例は、わかりにくい人もいると思うので、会社の例で課題の分離についてみてみましょう。

例、会社で上司にパワハラを受けている。

これはだれの課題でしょうか?

人に対して威圧的で自分の気分にあわせて怒鳴り、あれこれコントロールしようとする上司、どこの会社にもいるんじゃないでしょうか。

上司と部下という関係上、上司に嫌われると会社ではうまくやっていけない。

だから我慢する。

しかし、パワハラをするような上司と関係を切ってもうまくやっていく方法はあるのではないでしょうか。

これについてアドラーはするどい指摘をしています。

実は、一見被害者に見える部下は「あの上司がいるから、仕事ができない」という口実をつくって仕事のできない自分を納得させている可能性があるとのことです。

部下には「仕事のできない自分を認めたくない」という心理があって、それを正当化するために嫌な上司を作りだしている。

その上司に対して、最初から「嫌いだ」というサインを送っていなかったでしょうか。

心理学では、人はコミュニケーションするうえで重要視しているのが「表情や声」が90%以上占めるといわれています。

だから上司は部下のそのサインを感じ取り、反発している。

上司という人物をよく知りもしないで初めから「嫌いだ」と決めつけるのには、理由があります。

それが「仕事のできない自分を認めたくない」とか「傷つきたくない」という自分を守るための口実です。

けど、こちらが好意を向けているにもかかわらず、それでも理不尽に対応するような人について本書ではこう言っています。

すりすり寄る必要もないし、自分を曲げてまで頭を下げる必要はない。

わたしのなすべきことは、自らの人生に嘘をつくことなく、自らの課題に立ち向かうことなのだ。

理不尽な行為はその人の課題であるから、気にするな。

よい関係が築けない人は、迷いなく切り捨てろ。

というように主張しています。

 

2つの例をあげましたが課題の分離について理解しましたでしょうか。

人間関係で「イライラ」するなどネガティブな関係になったとき、その理由を考えてみます。

そして、その原因が自分なのか、相手なのか。

どちらの課題なのかを見極め、相手の課題には介入しない。

「嫌われようが嫌われまいが」自分の課題とは関係のないこと。

このスタンスをとると心が一気に楽になり、悩むこともなくなります。

悩むことがないので、気分、感情も常に良い状態をキープでき、幸せを感じることができる。

以上が「悩みがなくなる」メカニズムです。

 

本書を読んで得た「学び」

この本を読んで得た学びを2つ紹介します。

学び① 過去の経験は生ごみ

人は年を取ると多くの「経験」を通し、学び、「知恵」を獲得していきます。

しかし、それは思考の柔軟性が失われ、過去にしがみつく行為でもあります。

生まれたて間もない赤ちゃんは、やかんのお湯が熱いことも知りません。

熱いから気を付けないといけないことを教えられたり、実際にやけどをしたり、失敗をすることで学んでいきます。

そうすることで、何か新しいことをしようとするときに、過去の経験を思い出して判断する考え方がみについていきます。

しかし、その思考では過去に縛られすぎて、未来を変えていくことはできない、危険な間違った思考だとアドラーは指摘しています。

例えば、過去の経験の結果、自分の評価を「自分は口下手だ」「自分は社長にはなれない」「自分はモテない」といったネガティブな思い込みにとらわれて一歩踏み出せない人がいます。

大事なのは、「これからどうしたいか?」

それを考えると過去の経験、評価に関係なく、何でもチャレンジできるのです。

これは大きな気づきです。

 

学び② 「主観」で生きろ!

それから、もう1つこの本から得た気づきは、自己評価は「主観的な思い込み」にすぎず、自由に変えていけるということです。

人はある出来事が起こったときに、それが「よいこと」なのか「悪いこと」なのかを意味づけします。

例えば、雨が降ったことに対して、日照り続きだった農家の人は「よいこと」ととらえるし、傘を忘れて外出した人は「悪いこと」と解釈します。

どちらも「ただ雨が降っただけ」なのに、自分の状況によって意味がかわるのです。

つまり、「出来事」を「主観的に解釈(思考)」して良し悪しを決めている。

結局は、人は「主観」の世界で生きているということです。

幸せかどうかも、「私は幸せだ」と思えば幸せだし、「私は不幸だ」と思えば不幸になります。

そして「主観」なら変えていくことができる。

他人をコントロールすることは難しいけど、自分ならコントロールできますよね。

自分の解釈(思考)を変えれば、気分、感情も変えられるんです。

これは大きな気づきでした。

 

本書は発行部数がすごいだけじゃなく、人生の必読書といってもいいくらい中身の濃い本です。

今回は、悩みがなくなるメカニズムをご紹介しましたが、さらに具体的に他者との関係をよくするための方法についても紹介されています。

幸せになるには、悩みをなくすだけでなく、自ら人生を選択していくことが必要になってきます。

気になった方はぜひ本を読んでみてください。

 

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